平成18年3月
65歳継続雇用導入プロジェクトを終えて

高年齢者雇用アドバイザー
佐 藤 信 吾

 

 今回の「継続雇用の義務化」は、企業にとっては、さらなる人件費の増加が危惧され、そのままでは事業の活性化の阻害要因にもなりかねず、「企業の論理」からすれば、「法令順守」または「企業の社会的責任」として無理やりに納得せざるを得ないというのが正直なところでしょう。
 企業は、4月1日施行に向けて、まずは、就業規則の変更、基準に関する協定書の整備を進めていますが、「継続雇用者」の単なる受入のための外形上の整備だけで十分とはいえません。
 つまりは、「継続雇用者がやる気をなくしたら大損失である」ということを認識することが重要です。
 今後、「継続雇用者」に対しては、賃金の見直しや役割の見直しなどの環境変化を求めることになりますが、意識改革のないままそれを実行しますとモチベーションの大幅な低下をまねくおそれがあります。
 人生の転機ともいえるこの環境変化に対応するには、「継続雇用者」に早くから現実を見つめ、定年後にむけての再出発をきる心構えを持ってもらうことが重要となります。
 企業としては、その意識改革の支援とともに、職業生活から個人生活への軸足の移動をスムーズに行えるための支援も重要となります。
 むしろ、そこまでできて初めて少子高齢化に対する企業の社会的責任を果たしたということになるのではないでしょうか。
 「従業員のニーズ」と「会社のニーズ」のスムーズなマッチングのためにもできるだけ早期に面談を開始することが肝要ですが、「継続雇用者」がしっかりした将来設計をもっていれば、より中身の濃い面談ができることでしょう。
 人の一生の中にある職業生活や個人生活、家庭生活などの現実を考えさせ、ライフ・ステージごとに自己の有意義な生活の仕方を自覚、認識させるとともに、自助努力、独立の精神を養うとともに、人生における生きがいや自己充実を考えた退職準備、退職後の老後生活をも計画させ、社会生活環境への適応と自立をはかるための研修を受講することで、環境変化に対応する意識改革が図れるものと思います。
 私が、経営者の皆さまにご提案したいことの1つめは、「従業員にこのような生活設計研修を受講する機会を提供していただきたい」ということです。
 とはいえ、自前でこのような研修を実施することは困難ですから、長崎県雇用開発協会の高年齢者雇用就業支援コーナーで実施する無料の「職業生活設計セミナー」をぜひご活用ください。
 2つめは、「“人事評価”に対する考え方をかえていただきたい」ということです。
多くの方は、「人事評価=査定」というイメージが強く、「人事評価をすると人間関係がギクシャクするし、テマがかかるからやりたくない」と思っている方が多いようです。
 しかし、「評価や面談」を単なる「査定」と考えるのではなく、「“社長の考え・方針”の伝達とその共有化のために実施する」と考えれば、「テマがかかってもやるべきだ」と思うようになるのではないでしょうか。
 評価をするためには、まずは、経営者が「期待(役割)」を明確に示すことが肝要ですが、その成否は評価者の「説明能力」がカギを握っています。
 評価者に対する訓練も重要となります。