評価・面接

                                           野原 茂 著              
                                           「部下のやる気を高める目標のきめ方」より

人事の理念とするところは、一般に次の3つに大別されます。
 @高い成果(生産性の向上)
 A働きがい=生きがい
 B公平な処遇
の達成、実現にあります。

 働きがいとは、日常の職務活動を通じて、自己充足、自己主張がおこなわれる状態を指します。
 自己充足とは、能力開発のことであり、仕事を通して人間としての成長によって得られる喜びであり、満足です。
 自己主張とは、能力が思う存分仕事の場で発揮されている状態であり、それはまた能力が有効活用されている姿でもあります。

 公平な取り扱いや処遇とは、能力を正しく評価し、能力に応じて仕事と賃金などを決定していくことによって実現されるものです。そして、高い成果の実現は、まさしく評価と(目標)面接制度の理念とするところです。

 自己主張は、目標面接でいうところの参画そのものです。参画するということは、日常の職務活動を通じて自己主張が行われている状態であり、それはまた能力が有効活用されている姿でもあります。目標面接では、参画とともに能力開発が“動機づけ”のファクターとなっており、動機づけによるやる気の深耕をねらったものです。このやる気は、人事の理念とする働きがいや生きがいに通じます。

 公平な処遇についても、目標面接での役割設定とその業績配分という考え方があります。これなども、貢献度によって公平な処遇をという一端を示すものとみなしてよいでしょう。

 なぜ評価があいまいになるかの原因の一つに対話の問題があります。きちんと評価するためにも、また評価に対する説明責任を容易にするためにも対話が必要です。






          <マネジメント・サイクルからみての関係>


(1)“プラン”の段階

 人を育てるのは、仕事の与え方とその質と量で決まります。
 能力主義では、能力評価の基準となるものを能力期待像(等級基準)といいます。この等級基準は、会社が社員に対し、期待し求める習熟と修得の内容とレベルの“能力期待像”の明細区分です。

 それともう一つ、状況下で個々人に期待し求める役割(職務基準)があります。これはそのつど上司と部下が話し合って設定、確認される仕事と目標の“役割期待像”です。

 どのように役割(職務基準)が決められていくかといいますと、まず上司は部下を集めてあらかじめ確認された会社(部門)の計画、方針つまりビジョンを示し、それに基づいて部下一人ひとりに職責つまりミッションを与えます。

 職責を受けて部下は具体的行動計画つまり目標を立て、それを上司に提案して徹底的に話し合い役割(職務基準)が確定します。

 評価が部下のレベルアップをねらいとしている以上、上司が部下に示す職責は、部下にとってかなりチャレンジ的なものとなります。
 与えられた職責に対する部下の目標つまり具体的行動計画は、双方が十分に意見や考えを述べ合い、互いに納得、合意に達するまでひざ突き合わせて話し合います。

 職責は、一つひとつの課業=タスク(分業分担すべき作業課題)として与えられます。
具体的に何を(“どんな仕事を”)と達成基準(“どれだけ”“どのくらい”“いつまでに”)と遂行基準(“どのように”)について、互いに納得、合意に達するまでとことん話し合います。

 特に上司は、組織のおかれている状況、自らの考えを明示し、それを部下に理解させることに努力します。また、上司の方針は部下にとっては行動基準となるものであり、部下が一つひとつの課業を遂行するための具体的行動計画(手順や段取など)を立てるときのガイドラインとなります。

したがって方針を示さなかったり、示したとしてもそれがあいまいだったりすると、いくら職責について突っ込んだ話し合いをしても、効果的に役割の設定や遂行がされないままに終わってしまうことが起きます。

 評価における職務基準は、上司から部下へとブレークダウンされたものに部下が提案した目標を加え設定します。
 したがって、会社目標と職務基準との関係を表すと、
  各人の職務基準の総和≧全社目標となります。

 評価における職務基準の設定は、このように部下が参画し、上司と話し合い、納得と合意によって部下がそれを引き受けるという手順をふみますが、この手順は、「目標(設定)面接」で可能となります。


(2)“ドウ”の段階

 役割(職務基準)の詳細さえはっきり確認できれば“後は思うようにやれ”というわけにはいきません。職務遂行段階では、何事もなく思われる状態であっても、常に部下一人ひとりの行動をつぶさに観察し分析し、記録しておかなければなりません。

 この観察、分析、記録は、次の段階での能力分析とフィードバックのためにも、どうしてもやっておく必要がります。
管理者として、自分の部門内外で何がどうなっているのか、そのすべてを観察して掌握する、つまり、中間点でのチェックがまずこの段階における第一に重要な仕事となります。

 観察、分析の結果、部下が何か問題を抱えているようであれば、状況を確認したうえで共に解決にあたり、解決のための示唆、助言、指導をするといった手を打つ、自分の示した方針やルールから逸脱しておれば矯正し注意しなければなりません。

 部下にとって役割(職務基準)が挑戦的なものであるだけに、上司の強力な後押しはどうしても欠かせないものとなってくるし、事と次第によっては役割(職務基準)の修正も考えなければならないこともあります。
特に役割(職務基準)の設定段階で、部下と取り交わした約束があれば、それの履行もしなければなりません。そしてなにより大切なことは、部下に対するOJTです。職務遂行過程で部下のレベルアップを図るよう、上司と部下が共に努力することが重要です。

 これをやらないと期待能力像の等級基準に不足するところは埋まらないのみか、役割(職務基準)を達成することもできません。評価のねらいはまさにここにあります。以上が評価におけるプロセス管理のための「中間面接」です。



(3)“チェック”の段階

 結果の評価については、評価の場合、目標面接で確認した期待役割像(職務基準)、期待能力像(等級基準)を絶対基準として、どうであったかを評価し分析する絶対考課として行われます。

 話し合って確認された職務基準の達成度評価にあたっては、部下自身も自分がやったかやらなかったか、どの程度やったかについて自己評価することが可能です。

 上司は上司の立場で、部下に期待し求めたものについて、部下がやったかやらなかったかが評価でき、その役割の達成度評価を具体的材料として期待能力像(等級基準)をどのレベルまで満たしているか満たしていないかについて、期待能力の充足度を公正に分析できます。


(4)“アクション”の段階

 評価の結果は部下に伝え、次のステップアップへつなげなければなりません。それが「フィードバック面接」です。話し合いは、結果だけではなく、結果にいたるプロセスとその原因についてのやり取りでなければなりません。

 評価結果について、その話し合いの中身は、上司の観察、記録と分析等からのフィードバックであり、加えて、部下の思い、提案を求めながらの、今後の事態の改善を図るための解決方法等といった内容となります。
具体的には、部下の今後の能力開発課題や、啓発の方法、そして次の仕事の与え方、させ方などの職務改善が含まれます。

 このように評価のプロセスをみると、そこには目標面接が深くかかわります。
 そのプロセスはP−D−C−A(Plan‐Do‐Check‐Action)そのものであり、評価と目標面接の関連はマネジメントそのものです。






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