人は何から学び成長するのか
社会人の能力開発には、研修やトレーニングが大切であることはいうまでもありません。
しかし、能力開発の大半は、現場での経験によるものだといわれています。(アメリカの人
事コンサルタント会社であるロミンガー社が実施した優れたビジネスリーダーの経験につ
いての調査で、7割が「仕事上の直接経験から学ぶ」と答え、あとは「他人のアドバイスや
観察から学ぶ」が2割、「研修や書籍から学ぶ」が1割という結果が示されています。)
アメリカの組織行動学者デービッド・コルブは、この「仕事上の直接経験から学ぶ」プロ
セスをモデル化した「経験学習理論」を提唱しました。
① その人自身の状況下で具体的な経験をすることが出発点になります〈具体的経験〉。
② 次にその経験を多様な観点から振り返って内省し〈省察〉
③ そこで得られた教訓や気づきを他の状況でも応用できるような独自の理論〈マイ・
セオリー〉に作り上げ〈概念化〉
④ その理論を新しい状況で実際に試行します(実践)
そしてさらに経験を重ねて…という風に、「経験→省察→概念化→実践」のサイクルを回
すことで経験が知恵に変換され、人はより良く学ぶことができるというのが、コルブの提唱
する経験学習理論の要諦です。
部下育成においては、上司は仕事を教え、仕事をさせ、さらに部下本人が具体的経験を振
り返るきっかけを提供することが重要になります。
最近は、「ワン・オン・ワン(1on1)ミーテイング」としてこの「仕事の結果の振り返り」
を実施する企業が増えています。
私は、社員の価値観が多様化する中で、その「成果」と「働きがい」を達成・拡大できる
組織運営のためには、社員一人一人に目を向けた、現場の個別管理である「労務管理」の強
化が不可欠であり、「日常のマネジメントとしての評価・面接」の強化が効果的だと考えて
います。
評価・面接は、「PDCA(マネジメントサイクル)」で流れており、それぞれの部分で
基本となる「考え方」や「やり方」があります。
私は、基本となる「考え方」をもとに、評価・面接訓練を通じて、「高い成果」と「社員
の働きがい」を達成・拡大できる組織運営の実現に貢献したいと考えています。