仕事の見える化
1.「仕事の見える化」は現場の身近な改善の出発点
「仕事の見える化」は、仕事の仕組みと流れを誰にでもわかるようにするために実施し
ます。
これには仕事に関する多様な情報を広く社員に公開し、全体の仕組みを理解させながら、
全体最適につながる創意工夫を促すねらいがあります。
各部署で求める必要能力の見える化、工程の見える化、さらに各部署が何かを問題にし、
どう解決しようとしているかの見える化など広範囲におよびます。
課業(タスク)とは明確な目的を持つ業務のことで、要素作業のまとまったものをいい
ます。また、いくつかの課業で構成されるものを職務といい、各人に分担されます。
まずは、現在、行っている仕事を洗い出し、課業名と課業の内容(要素作業)を記載し
た課業一覧を作成します。作成にあたっては、この課業の「目的」と「要素作業」・
「アウトプット(成果物)」や「前工程」・「後工程」を明確にする必要があります。
また、各人に課される業務は、必要な知識、技能の高さ(低さ)、責任の広がりの違い
などによって、難易度が異なり、概ね次のように分けることができます。
A:単純定型業務
B:熟練定型業務
C:判断・指導業務
D:企画・管理業務
通常、一般職はA「単純定型業務」とB「熟練定型業務」を、主任や係長である監督職
はB「熟練定型業務」とC「判断・指導業務」を、課長や部長である管理職はC「判断・
指導業務」とD「企画・管理業務」を担当します。
課業一覧ができたら、実際に職場の一人ひとりにあてはめてみて、各人が担当している
業務のすべてが入っているかを確認します。
この課業一覧と課業分担により、所属長は各人に分担されている課業が量的・質的に見
て各人の経験・能力・役職を勘案して適当であるか否かを確認することができます。
また、各担当者は自分が担当する課業が部署内・部署間、会社内外でどのような位置づ
けにあるのかがわかり、全体最適になるような改善行動をとることが期待できます。
会社は、たとえば入社○年目の社員には主任が担当する課業を任せられる能力(職務遂
行能力)を身につけてほしいという能力期待像があります。
それを見える化したのが職能基準です。
職能基準は保有する職務遂行能力の期待レベルを職能資格等級ごとに設定するもので、
課業ごとに「できる」のレベルを指定します。
「できる」のレベル(習熟度の深まり)の指定については、通常では、「(援)できる」、
「(独)独力でできる」、「(完)完全にできる」の3区分で指定します。
職能基準は能力開発のガイドライン(キャリアパス)であり、社員にとっては自分のキ
ャリアプランをつくる際のマイルストーンとなり、所属長にとっては職務を分担する際の
判断基準となります。また、能力基準の賃金(能力給)の決定基準にもなります。
4.行動基準としての仕事の見える化
会社が身につけることを期待する職業人・組織人としての能力は次のように分けられ
ます。
・保有能力 :職務を遂行するための知識・スキル
・発揮能力①:経験により蓄積される能力
課題対応能力⇒判断力・企画力 など
対人対応能力⇒折衝力・指導力 など
・発揮能力②:組織人としてのマインド(勤務姿勢)
情意⇒「規律性・責任性」と「協調性と積極性」
各人が保有する知識・スキルのレベルが低ければ、高い成果は望めません。
各人が保有する知識・スキルのレベルが高くても、それを発揮する能力レベルが低けれ
ば、これもまた高い成果は望めません。
そこで、会社が期待する保有能力は職能基準として見える化し、会社が期待する発揮能
力は行動基準として見える化します。
この行動基準は、各人にとっては高い成果を出すための自らが保有する知識・スキルの
使い方であり、所属長にとっては職務を任せる際の判断基準となります。また、仕事基準
の賃金(職責給)の決定基準にもなります。
私は、仕事の見える化のお手伝いを通じて、上司・部下間での仕事の共通テーマ(話題)
を明らかし、双方向のコミュニケーションを活発化させることで、組織の活性化に貢献した
いと考えています。
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